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「……あまり真面目な話ではないんだがな」
　藤林は彼の言葉を聞いて目をそらす。少しいいにくそうにしながらカバンから書類の入ったファイルいくつかを渡す。
「人事からお前にプレゼントだ。大人はどうしてもお前を正規統治者の地位でこき使いたいらしい。正規統治者になってくれたら、この中から好きな女と見合いさせてくれるんだとか」
　書類には機関の女性社員の顔写真と人物情報が載っており、付属資料として写真が何枚かファイルに同封されている。写真はほとんどが隠し撮りのものばかりだった。
　人事部が彼を正規統治者にあげようとするエサとして持ってきたらしい。
　彩芽は時臣のお見合いと聞いて反応してしまう。
「僕は一応、書類の中身は最初の女だけ見たが……趣味が悪いな。うちの人事は」
　ファイルの中には彩芽の書類も入っており、同封される写真は他の人物より数が多い。
　昨日外出したときの時臣とのツーショット写真もあり、中には着替え中の隠し撮りや入浴中の写真、学校で教師に胸を揉まれセクハラされていたりする写真まであった。
　藤林は彩芽の写真を見ていないのか淡々と説明する。知っても特に何も思わないかもしれないが。
「その中から一人選べるそうだ。見合いというか、まあ半ば許嫁みたいなものだな……選んだ女を他の男に盗られないようにできる。お前も24なんだし、女を侍らせてもいいんじゃないのか」
「ふ、藤林さん！　結城を扇動しないでよっ」
「夜子には関係ないだろう。なんだ、結城のこと好きなのかお前」
「えっ……あ、いや、その……」
　彩芽は藤林の発言を聞いて動揺するが、彼女に問われれば赤面し答えられなくて大人しくなる。