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>>56
「この近くの一軒家だよ。書類見た限りその子というより、その子の相手の夜子が少し厄介そうだけど」
　彩芽は鞄から書類を出して時臣に渡す。書類には今回電話をしてきた女の子とその夜子の男について記載されていた。
　女の子の方は彩芽と同じ18歳、男の方は大人で58歳でありその男はどうやら元正規統治者らしい。

「藤林さんに聞いたらその男の人、過去の経歴をまだ引き摺って色んな人を使いパシリにしてる面倒なおじさんなんだって。電話はすぐに切れたみたいだけど、後ろで男の怒声が聞こえたとか。藤林さんの予想ではその女の子が暴行されて助けを求めてる可能性が高いって」

　彩芽と同じ年齢ほどの女の子にとって、大人でかつ元正規統治者の人間には逆らえない。それでも機関に助けを求めれば、状況に応じて夜子の変更が可能である。