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>>58
「私が言うのも何だけど本人の前で言ったらキレられるよ多分」
　彩芽は頷いて時臣と共に女の子の家に向かう。
　家の前についてチャイムを鳴らすと、少しして彩芽と同じ年くらいの女子高生が出てきた。彼女は長袖の裾を強く伸ばして焦った様子でいて、彩芽は優しい声で話し始める。
「電話をくれた方ですね。一応様子を見に」
「何だ、宅配かと思ったら機関の奴らか。うちの夜子がいたずら電話をしたらしい、問題ないから帰れ」
　彩芽の言葉を遮って奥から50代の男が出てきて、怠そうに彩芽と時臣を見る。彩芽の胸を凝視しつつ、彼は女の子の頭に手を置いて頭を荒く撫でていう。彼の言葉を聞くに親ではなく例の元正規統治者の夜子らしい。