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Re: 【BL】化け物の生贄になった話2【1対1、募集中】 ( No.273 )
日時: 2021/12/30 13:18
名前: あんず (ID: JbG8aaI6)

>>272

自分の名前は、正直に言ってあまり良い意味を持たない。憂うという字はそもそも、《ある状態をいとわしく、不愉快に思うさま。いやだ。煩わしい。気に入らない。》などといった意味合いを持つ。自分を産んだ両親が何を思っていたのか、容易に分かる名前だ。だからこそ、今まで誰にも褒められたことがなかった。

憂斗「凪紗さん…よ、よろしくお願いします…!」

人食い鬼の唯一の生き残りという言葉は、きっと恐ろしく聞こえるはずなんだろう。でも今の僕には何も感じなかった。否、食べられても良いのかもしれないとすら思っていた。この17年間蓋をされていた承認欲求が溢れ、満たされ、蒸発していった。気体となったそれがまた液体に戻る前に、この幸せな記憶を忘れない様に、そのまま死んでゆくのも良いのだろうと、考えずにはいられなかった。

「あ、わ、鷲さん!乗せてくれて、ありがとう!」

未だに自分を抱き抱えている凪紗の袖をキュッと摘む様に握り、もう既に旅立ち空の景色の一部になってしまった鷲へ礼を言いながら、手を振る。手を振ると言っても抱き抱えている凪紗の邪魔にならないような小さい手振りだが。
しかし飛んでいた時は特に深く考えていなかったが、何故この鬼は自分を抱き抱えたままなのだろう。やはり、僕は獲物だから逃げない様にという考えからなのだろうか。少し恥ずかしくなってきて、耳が発熱していくのを感じる。