「神崎伊織さん…。神崎さんですね。ご丁寧にありがとうございます」手提げ籠を両手に持ち直し、一歩後ろに下がる。「それではまだ引っ越し作業が残っているので、失礼します」感じの良い隣人に安堵しながら小さく会釈すると、口元に僅かな笑みを浮かべた。