扉を開け現れた隣人に、留守ではなかったと内心安堵する。「こんにちは。あの、昨日のお礼をと思いまして、これ、ティラミスです。甘さを抑えたのですが、口に合えばと思いまして」紙袋を両手で持ち、彼に差し出す。いざ手渡す時になると、本当にこれで良かったのか、もっと別の物にした方が良かったのではないか等と思うが、受け取ってもらえるかは彼次第だろうと、僅かに緊張した声で手渡した。