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>>13

　クロアは名前が同じ人物だったため彼に多少期待してしまっていた。しかし彼が気遣いなどなく席に座ったのを見て諦め少し恨めしそうに視線を向ける。
　ジークハルトに彼女はいないと聞いて女子たちは嬉しそうにしてはしゃぎ出した。
「お前ら一旦静かにしろー。全員転校生に自己紹介するぞ」
　ロキは手を叩いて場を静め、一番左前の席の生徒から自己紹介が始まっていく。
「あの、これ連絡先です！」
「せっかく隣になったからお願い事かったら何でも言ってね！　あ！　これあげるっ」
　女子達は自己紹介もそこそこにジークハルトへのアピールをしだし、中には連絡先を書いた紙を押し付けたりしている子もいて。
　先ほどクロアを突き落とした子は笑顔でおそろいのストラップを渡した。女子達は自分たちへ質問を欲してキラキラと目を光らせてジークハルトを見つめていた。
　全員が自己紹介を終え、ロキはクロアへ目を向ける。
「そこの豚もちゃんと転校生に挨拶しろ」
「……クロア・ロンフェルト。君と同じ名前の知り合いがいたけど、全然違った」
　クロアは少し不機嫌そうにして顔を背ける。