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>>112

「どうぞ」
ノックと彼の声に、頷き返すとラフに衣服を着崩したディートリヒの姿にロシャの頬が薄紅に染まった。
「以前母上がこの地を去る時に渡してくれた書物の知識を少し。確か男女が夜に寝室で営むもので、それを行う事で快楽と情を懐くものとか…」
然り気無く隣に座る彼に緊張を悟られぬよう、視線を逸らしながら問いに答える。
書物に書かれていたものは浅い内容で、絵は無く、当時興味もなかったロシャの知識はその程度だった。