目的の店などは端から無く、ただ道を歩き店を流し見る。最近の花街には遊女や花魁だけではなく男娼も売られているらしく、時折男娼も客寄せの席に着き、加佐守りを手招く者も目に見えた。(最近は男娼も居るものなのだな。それも男である俺にも手招くとは、男色の店も多いという証だろうか)溜め息を溢しながら人混みに少しばかり疲れを感じていたところ、一軒の店の二階窓からこちらを見る華奢な容姿の青年と視線が合った。