目が合うと控えめな笑みを浮かべ直ぐに部屋に隠れてしまった青年の姿に、加佐守は幾分か疲れを癒された気がした。「店主、そこの二階窓から見えた部屋の彼を一夜買えるだろうか」店先の客寄せには他の艶やかで美しい男娼が手招きをしていたが、今はそれよりも二階の青年が気になる。金銭は充分持ち歩いているので金銭の心配はないが、買えるかは別の話だろうと思い店主の答えを待つ。