「色々…か。不粋な事を聞くが、ならば夜伽も今までなかったのか?」自身の使っていたお猪口に一人手酌で酒を注ぎ、瞳を伏せ酒を喉に流す。今夜は酒の席で良いと思っていたのだが、隣に座る青年が夜伽の経験も無いとなると、今後の青年の身を少しばかり不憫に思えた。何せ此処は花街。男娼とは言えど、時には乱暴狼藉のまま夜伽をさせようとする者も何れは現れるのだろうから。