「ちっ。仕方ねえ。他に行くか」新城が引く様子もないと察すると、男性客は分が悪いと諦め、店を去って行く。「申し訳ありませんでした旦那様。付き合わせてしまった手前、肴を幾らか付けさせていただきます」店主も新城に頭を下げ、椿へと視線を向けた。「小桜、他の者達と一緒に部屋を用意してきておくれ」禿の幼女に椿が告げると、幼女は急ぎ店の者と共に部屋の仕度に掛かった。「お久しぶりです。新城様」新城に近づき、椿が声を掛ける。