音も立てずに障子を開くと、座椅子に座る男の存在に気付く。「お初に御目にかかります。側に付いても良いかしら?」部屋に一歩入ると再び座り、障子を閉める。そして伏せた顔をゆるりと上げ、彼を見つめると口元に薄い微笑みを浮かべ問い掛けた。