「あまり急かさないで下さいな。夜は長いものですよ」二階の廊下を進みながら尻に触れる彼の手をそっと握り、手を繋ぐように促す。「どうぞ、ごゆっくりお過ごしください」店の者の案内で部屋に辿り着くと、店の者が部屋の障子を開けた。部屋には座卓と座椅子が一脚。座椅子の側に座布団が一つあり、卓には日本酒の硝子徳利が二合と徳利が二つ。肴にと脂の乗った旬の焼き魚にふろふき大根の小鉢と白和えの小鉢が置かれていた。