「わかったわよ」困惑と羞恥に頬を染め、言われるがままに歩く。すると少し進み椿の夜伽部屋に続く客間近くの曲がり角で姿こそ見えないが、廊下の向こうから店の料理番の者達の声が僅かに聴こえてくる。このままでは鉢合わせしてしまうかもしれないと思い、今のうちに元来た道をたどり納屋に戻るか、空室の客間と夜伽部屋に入るか悩んだ。