「食べたいもの。もし良ければ、お豆腐が食べたいです」久しく食べれずにいた甘味を与えられ髪を撫でられると、一気に警戒心が薄れてきたのか光を感じなかった瞳は僅かに生気を取り戻し始めていた。食べたいもの。学校帰りに拐かされて以来、食事らしい食事もなく最低限の栄養だけを与えられていたが、素朴な好物である豆腐を思い出し、彼に願った。