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>>16 【　サキ　】＃ヴァロ

そっか。其れも其の内、時期に慣れるさ。
（青い花束に彼の視線はいかない。気分を問えば、変な感じと返ってくる。其れに案じる事はないと言葉を掛け。其れも当然、オリジナルは死している訳だし君を培養槽からは出してあげても、此処からは出られないんだからね。そうしている間も彼と視線が交わっている。このまま視界を独り占めしているのも悪くはないが、折角の演出を無駄にしたくもない。培養槽から出さずとも与えられるが、２度目の折角だからと小さな花で構成されたブーケを片手に掲げ「これは贈り物だよ」とウインクひとつ。同時に無機質な機械音声が響くだろう。 ----『認証システム作動完了。システムオールグリーン、開閉を許可します』---- 若干ノイズの混じった音声とともに彼を覆う緑の視界が晴れ、培養槽を満たしていた液がさあっと其の姿を消す筈で。背後のガラスはかたりと音を立て、ゆっくりと左右に開いていく。埃っぽいその空間には似つかわしくない恍惚とした笑みで大仰に両手を広げ、歓迎の意を表して。）
ようこそ！出ておいでよ、被検体ちゃん。