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>>78

…あの人がくれた物、だけでも…返って来るなら……分かった…。
(余裕が無さそうに頭髪を掻く姿が見え、あぁやっぱり駄目なのだろうかと宝物さえも手放すしか無いのかと諦め、もう良い、そう言おうと口を開こうとすると相手から思いもしなかった言葉を言われ、驚いてしまう。もう諦めるしか無いと、そう思っていた矢先に取り戻してみせると言われて、けれど条件があると、取り戻すのは宝物である一つだけで良いかと、言われるとあの人からの贈り物だけでも…と、そう思えば条件を飲む様に分かったと言い。それでもまだ確実に戻って来るとは限らない為、諦めていると不意に磨りガラス戸が開かれて。)
ほん、本当に…？今はあれしか、希望が無いから…。
(濡れるのも構わずにそのまま抱き締められ慰め励ます様に言われた言葉に期待して良いのだろうかと思い乍も今の自分には唯一の宝物しか希望が無いと、暗く諦めた様な声色で言って。)