>>67 影宮 詩羽
( 近づく手はお人形の手のように華奢な作りで力加減を間違えることは許されないと見た目だけでも感じ取る事ができた。そんな指先を確りと迎え入れて恭しく掬い上げるように指同士を絡めるような動きで彼の手を握ると戯れにぎゅっぎゅと淡い力を込めてみて。握った掌から伝う優しい体温を感じ。両目で配色が違うダイヤ形の綺麗な瞳を真っ直ぐに、ただその瞳だけをとろんと蕩けた微睡む眼差しが見つめると彼からもそっと優しく丁寧に扱う姿が愛らしくて守ってあげたいと不思議な庇護欲を作らせたらしい。力加減ができずに握る手は僅かに彼の手の甲に爪の先が食い込んでしまっていることにも気付かずに春の陽だまりのようなふわふわと温かい微笑みを見せて「 うーん、どれが私の本性かはくまちゃんにわからないかも。…でもダイヤマークくんが美味しそうで綺麗ってことだけはわかるよぉ 」彼を見つめる瞳は甘やかでどこまでも穏やかなのに、本性はわからないと言った熊の、美味しそうと綺麗。その言葉に確かな獣を感じるだろう。しかし握った掌の優しさがそれを否定する。その危うい二面性に興味が湧き始める事だろうか。触れ合う手を軸にしてリボンがひらりと揺らめく静かな動きで上半身を倒し彼との距離を物理的に縮めてしまう。上目遣いで見るように少しだけ下の位置から彼のことを見上げればぽてっとした作りの小さな唇が微笑んで。近づいたことで香るのは彼が使う香水だろうか、それとも彼の香りなのだろうか。少し距離を詰めただけでも興味はより濃くなってしまった。ほんの僅か、空気の中にピリリと走る緊張感には見て見ぬふりを。甘えるみたいにまどろっこしいそんな喋り方でもう一度だけ現状を紐解いて。 )ダイヤマークくんはお家に帰りたいのねぇ。でも、どうしようかな。ふふ、くまちゃんはもっともっとあなたの事が知りたいの