▼ 神庭羅夜桜 様(>>86)
(人間の世界では朝となる時間迄過ぎた頃。遊ばせている桃色の髪をした、見た目は幼き少年は、赤い組紐を揺らしながらこそこそとだが愉しげに人間が居る部屋へ忍び込み、侵入した。此の少年、彼が眠る布団の目前で彼が起きた際、膝を突き合わせる正座の形で座り込み、大きな瞳は三段階になっており、手元には鞠を持っている。さて、息を吐いたところで弾んだ声にて声を掛け。)
──お兄さん!起きて。おれと遊ぼう。おれに勝ったら、情報教えてあげる。
▼ 九井祈織 様(>>86)
うん、ただいま。……?何か隠した?
(勾玉、確かに謎の存在はそう口にした。九井が最初に目覚めた部屋には割れた勾玉が散乱していたが、其れの事を指しているのだろう。赤い小箱が開けられた其の先にあったものは精巧な組紐のようなもの。今のところで赤と紫が綾なす色彩は綺麗ではあるものの、何を以て此れが「真相」足り得るのか分かる筈もない。己が部屋に戻れば、此方へ向けてくる彼の目線を受け止めるのは存外悪い気分ではなく、まるで長年の掛け合いを模すかのようにもう一度帰宅の言を告げて。訪れた時とは正反対に後ろ手で静かに襖を閉めると、何かを隠している彼へと向き直り其の背を目指して歩を進め。傍らに座り直そうとした最中、ふと目に留まるのは文机の下で隠された見慣れた組紐。鮮やかな色彩に驚いたように目を瞬かせ、穏やかなだった青い双眸がある一点に釘付けになり、中腰でぐいと距離を詰めては其の贈り物を見遣る。己の装飾品ではない組緒は誰かの独占欲を示すもの。理解した途端に眉尻が吊り上がり、明らかな怒気を滲ませて。至近距離で文机下の組紐を見据える面差しが、次第に憤怒を顕に柳眉が逆立ってゆく。険しい顔で彼の双肩に手を掛け、鬼気迫った様子を押し出しながら問い掛けるは矢継ぎ早の尋問。其の剣幕には常に眠たそうで時には不機嫌そうなだが、滲む表情は何処か焦燥が垣間見え、捲し立てる途中ではっと気が付いたように机上の赤箱へ視線を向けて。其れを区切りに知らず強めていた力と言葉を窄ませながら、如何やら犯人の見当がついたであろう口振りに)ねえ、それ、どうしたの。まさかオレと会う前に会っ、……いや、そうか。耄碌の仕業か……。