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小さく開いた彼の唇にペットボトルの縁を宛て、媚薬入りの水を二口三口飲ませる。
「その口振りだと、不慣れそうだからな。始めから壊れては面白くない」
テーブルに置き直したボトルの水は、一割減った程度だった。
「それが効くまで、過去の話でもしよう」
テーブル前のソファーに座った野本は、ソファに背を預けポツリ発する。
「俺はな、数年前に【四宮葵】という男に、大切な物を盗まれたんだ」
嘗て野本から一作の小説を盗作しようとした男。そして真藤の知人である男が、四宮だった。