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>>30

宛てがわれた縁から流れる媚薬入りだと云う水をコクコク、と飲む。
テーブルに置き直されたボトルの水量へ視線を留め、彼の言い分に何れはオレを壊すつもりなのかよ、とうぐぐ…不服そうな顔付きになる。
「あーうん。オレを拐った動機はソレか？」
効果が効く迄、と始まった過去の話にあーあー知ってる、だってその業界へのみにリークしたのオレだもん。と内心思いながら聴き、落ち着き払った様子で問い掛け。
大学生として過ごす傍らにセキュリティエンジニア・ホワイトハッカー、時にサイバー攻撃やジャックするブラックハッカー、と世の中立的な立場として裏で活動している為、真実は言えないけど。
数年前のある日を思い返し、原稿を読ませて貰って、へぇ…良い作品だな。と笑い掛けたが、後から気付けばいや、あれ野本って奴の盗作じゃん。とリークしたのだった。本来なら、やめとけよって諫めてただろうに。
あの時のオレの気持ち返しやがれよ、と後普通に罪だし恰も自身の作品ですって偽ってる姿が赦せなかった。
盗作されたのを根に持つのは解らなくもない、けど知り合いだからとは云え、オレが拐われる羽目になるなんてあんまりじゃないか。