No. 1アリス
はぁ…だってお前、早く来ねえと怒るじゃん?…めんどくせーんだよ、そーいうの。
(待ち合わせ場所である庭園へ近付くなり待ち合わせ相手の、お世辞にも進んで聞きたいとは言えない、ねちっこくて陰湿な─愚痴混じりの説教が耳に飛び込んできた。これはまた面倒くさそうだ、と内心深々と溜息を吐きつつ、そっと庭園へ足を踏み入れる。出入り口に据え付けられた真紅の薔薇のアーチを静かに潜り、出来るだけ足音を殺してそろりそろりと歩いたつもりなのだが─見つかってしまったらしい。身体の妙な緊張を解き、無駄に手触りの良い下履きの尻ポケットへ両手を突っ込み、何故か伸ばしていた背をだらしなく丸める。その─普段通りの格好で待ち合わせ相手の元へと歩み寄り、その当人から掛けられた言葉には半ば呆れたように溜息を吐き出し、いつも通りの無愛想極まりない、ひどく突慳貪に聞こえる返答を返す。話の途中、すっかり怯えきっている庭師トランプ兵をちらりと見つめ─彼へ何処か哀れむような眼差しを向けたかと思えば、音は出さないままに唇を開き、『ご愁傷様』と労りの言葉を掛けてやった。─ところで。待ち合わせこそしたが、実際のところ何をするのやら聞いていなかった─いくぶんか背の高い待ち合わせ相手をじろりと見据えた後、愛想の欠片もない表情で問うて)
つーか、何の用事だよ?俺だって暇じゃねえんだけど。
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口が悪めのアリス(♂)となります。
口の悪さとは反対に人柄の良さが窺える人間らしさが愛しいアリスくんの可愛らしさと格好良さ。
No. 2アリス
うわー…めっちゃキレてはる。…はー…行きたくあらへん。…これ、今からブッチしてもワンチャン許され…へんよなー。…ダルいわ…
( 普段ならば待ち合わせ時間に一分一秒遅れずにぴったりか、少々遅れて到着するのだが、今日に限って少し早めに到着して驚かせてやろう、とそんな事を考えた自分を少し恨んだ。庭園の入口で立ち止まって頭を抱え、時折ちらちらと中の様子を窺いつつ溜息を吐く。好き好んで面倒に巻き込まれたくはないが、数分その場であれこれと愚痴を零しながら悩んだ後、ようやく覚悟を決めたらしい。大きく深呼吸し、ぱん、と頬を勢い良く張ってから庭園のアーチを潜り、白うさぎの視界に入る辺りまでのんびりと歩き始めた。想定通り、彼は自分を視界に留めてくれたらしく声を掛けてくる。心の中では相変わらず愚痴が止まらないものの、表面上だけはしっかりと、だが見る人間によっては少々胡散臭くも見えるフェイクの笑顔を作っては彼の言葉を享受するようにぺこり、と恭しく頭を下げてみせた。その後は叱られていた庭師のトランプ兵へくるりと向き直り、『貴方も大変ですね、お疲れ様です』と取り繕いに取り繕った、表面上はいかにも心配そうな声音で声を掛けてやる。─まあ、内心は『何しょうもないことに巻き込んでくれとんねんこのカス』なのだが─何はともあれ張り付けた笑顔のまま、彼の植えた白い薔薇へ歩み寄ってはその花弁に手を触れ、何気なく足元へ目を遣った。何に使うのかなど理解できないが、真新しい赤のペンキが、ご丁寧に塗るブラシ付きでそこに鎮座している。それを暫く眺めていて、ふと思い付いた提案を目の前の待ち合わせ相手に投げ掛けてみて)
あの…これ、赤く塗って誤魔化せませんかね?ペンキなら、そんなすぐに落ちないでしょうし…
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素が方言、内心はお喋りで愚痴マシーンだけど普段は礼儀正しく取り繕ってる…(脳裏にぼんやり見えた容姿は金髪にキツネ顔)というアリスくん。
気遣い上手なのが伝わり、方言を引き出せるように齷齪する住人たちを考えると楽しそう。
No. 3アリス
アリス / 女 / 15歳 / 博識 / 腹黒 / 年齢の割に大人びた発言 / たまに歳相応な姿を見せる / 自分の魅せ方が備わっている / 相手によって二面性あり / 孤独が苦手 / 甘いものと可愛いものが大好き / 甘党 / (人の)好き嫌いが激しい
白うさぎさん、ごきげんよう! 私は白い薔薇好きよ? 赤い薔薇の中に白い薔薇という異物がある。私みたいで何だか愛らしく見えないかしら?( 見渡す限り紅で埋めつくされた薔薇の庭園。その中で異彩を放つ純白の白薔薇はまさにアリスそのものであった。彼女が庭園へ現れると周囲の空気は変わり、白薔薇同様に異彩を放つ彼女の登場に庭師のトランプ兵は固唾を呑む。完璧なカーテシーを白うさぎへ披露すると白薔薇に触れながら話し掛け、鈴を転がすような声の中に僅かながら棘が含まれており。傍から見ると一見愛らしい笑顔に見えるが彼女の目は笑っておらず、終いには白薔薇を自身に例え始める始末だ。鋭い棘を気にすることなく白薔薇を一本摘むと指に棘が刺さったのか血が滲む。白い薔薇に血液が混じり合わさると僅かだが紅に染まり、その光景は傍から見ると異常で。当の本人はさして気にしていないのか、その白薔薇を白うさぎへ差し出すと愛らしく首を傾げ、上目遣いで見上げながらどんな返事が返ってくるのか内心楽しんでおり。 )
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ちょっと変わり者のアリスちゃん。
明るさの中に潜められた危なさがアンバランスで魅力的。
No. 4アリス
アリス / 女 / 16歳 / 打算的 / 合理主義 / 負けず嫌い / ドライ / 淡白 / 偏屈 / クーデレ / 豪胆
……赤、赤、赤と。私の目にはちょっと痛いから、たまには鮮烈でない庭園も望みたいものだけど。
( 整然とした兵の隊列のように、規律に則り咲き誇る薔薇園は相も変わらず刺激の強い色が並ぶ。聳え立つ城の高慢さも相俟って、いっそ悪趣味と切り捨てたくなる程の同色の光景を歩む中、唐突に薔薇の棘が如き鋭利さを孕む知人の声が鼓膜を揺らし。順路通りの角を曲がり、声の主が視界に入れば話の主題はどうやら毛色の変わった純白の花々のようで。自身にとっては心底関心度の低い話題だが、挨拶の代用として雑かつ淡々といつもの可愛げのない口を挟み。いくら仕事もなく暇に飽かす身の上とはいえ、わざわざ己を自分の領域まで招いておいて、当然何らかの見返りはあるのだろうなと緩く腕を組むと、身長も年齢も身分も上位の相手を真正面から堂々と見上げて小首を傾げ。 )
それで、白の兎さん。美味しいお茶とお菓子はどこにあるの。……まさか、こんな所まで私を呼び付けておいて、何の用意もないなんて言わないよね。
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人を選ぶ娘だとは思います。
心を掴むあまりにも可愛すぎるアリスちゃん。何処をとっても可愛らしいアリスちゃん。