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＞ハイネ

「墓場……嫌だって言ってもどうにかしない、と」
　忠告に従ったのは反射のようなものだった。後ずさって来る衝撃に備えて目を閉じていると、妙な音が音が聞こえた後には計画の失敗を示唆する言葉。
「……だ、大丈夫、ではないですね？！　ええっと止血を」
　目を開けば流れ出る液体と普段は見ることなどない表情がある。驚きに声をあげつつも自身の首元からネクタイを解いた。清潔とは程遠いが相手は人間以上の免疫がある存在、問題はないだろう。
「力でどうにもできないのならこの手紙に従った方が良さそうですね……触っても良いですか？」
　幸い危険な内容ではなかったようだし、これ以上怪我が増える前にハイネを説得した方が早そうだ。片手では不便だろうと許可を取るように声をかけながら手を差し出す。彼からすれば小さな傷だろうが見ているこちらの方が精神的に追い詰められる気がした。