>ウィリアム(>>131)
(美食家なんて評価されるレナードには、差程悪い評価をされた気がしなかった──かと言って手放しに褒められた記憶も無いのだろうが。「 味見をネタに…? 」血は気に入られてるのだろう。「 ――――やっぱり、そうだったのね 」幼馴染が貴方を目にかける理由はストンと胸に落ち、手に包んでいたティーカップを極力音を鳴らさないようにソーサーへ戻して「 嬉しいとは思えないでしょうけれど。でも、生きている間に色んな命に出会ったのに、最期に一人も名前を呼んでくれないなんて寂しいものよ 」困ったように微笑して。初日にされた約束と呼ぶには些か一方的で告げた当人は覚えているのかどうかも分からないそれ。がウィリアムには思い出されるだろうか。そっと窓の外の月へ目を遣ったつもりが、窓辺に咲く黒薔薇が意図せず視界に入る。今まで自身が食してきた獲物たちには最期の一息まで愛と慈しみを伝え注いだつもりでいるが、孤独を感じる事なく逝けただろうか――答えのない問いにふと自嘲するように吐息と共に笑ったのは「 ……でも、誰でも良いわけじゃないのよね 」自分は貴方の何倍もの時を生き長らえているのに、未だ最期に名前を呼んで欲しい存在は見つかっていない事に気付いたからで。「 あぁ…出来が悪、失礼。といいますか…私達とは異なる種族なの、……ダンピールというね。理性とは掛け離れていて、とても危険なのよ 」問い掛けられ、私達以外でならと理性とは掛け離れた危険性故か、そんな物言いで答えた。自分勝手で我儘な彼は美味しいと思えた食事はキープしたい筈、しかし同じ食事を狙うのが小賢しい悪魔というのは面白くないだろう――自身に貴方を気に掛けるようにと彼が頼んだ真の目的はそこにあるのかもしれないと何となく察して「 レンブラントとのお出かけは楽しかった? 」幼馴染のためでもあるが、それより何より自分自身貴方に興味があるのは確か。探りを入れるような調子ではなく、世間話の話題転換として何の濁りも含みもなく問い掛けて。)