>ウィリアム(>>136)
何だかあなたと話すと今まで見えなかったものが少しだけ見える気がするの、…あなたの不安を少しでも軽くするために来たのに、私の方が安らぎを与えられてしまっているわね
(そう紡ぐのは、先程の考え方にも自身の凝り固まった価値観を解きほぐし瓦解させるような言葉が真っ直ぐに胸に届いたから。「 私は――そうね、少し臆病で狡いの。どちらのことも大切にしたい、欲張りなのよ 」屋敷へ攫われたことで否応なしに人生を壊された貴方のことも、ずっと長い間黒薔薇屋敷の呪いを共に耐え忍んできた同胞のことも、どちらも優劣つけられないほど大切。逆に言えばどちらかを取る決め手がない状況とも表現できるが、今度は自嘲するでもなくそんな自分をとっくの昔に受け入れているような清々しさを声に乗せ。「 ……うふふ。嬉しいわ、こんなのとっても久し振り 」繋いだ約束がそう遠くない内に果たされるであろう事を、上辺だけのおべんちゃらではない事が伝わっていて。人間からすれば心臓が備わっているであろう位置にそっと両手を重ね合わせて、今感じている暖かさを噛み締め保存するように目を閉じて。どこか乞うような気持ちで見守り続け、最終的に乗り気になってくれたことに心から嬉しそうに破顔して、ジャンルを教えつつ「 本当にどんなのでも、固定されてないのよ。きっと喜んで読んでくれるわ。彼の事だから、素直に態度には出さないかもしれないけれど 」貴方が一生懸命に作文したのに、昔馴染は気の利いた対応はきっと出来ないだろうと推測して、もしそれが現実となってしまった際に貴方が気落ちしてしまわないようにと気休め程度のフォローを入れて。そうと決まれば、とばかりにまた使い魔へひそひそ話をすれば、コウモリはバスケットに入ったやや大判なサイズのレターセットと万年筆を貴方へと差し出し。)