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Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.270 )
日時: 2025/07/03 00:58
名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)

>>264

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「……その言葉は、私が聞くものではない」
 あなたに尽くし、最期に命まで投げ出した誰かが聞くべき言葉だ。
 いつまでもだらりと垂れた手が頭にこびりついて離れないのは、人間の死に慣れていないからだろうか。しわくちゃになった冷たい手が組み合わされ、柩の中に死者が横たわる景色がいくつか思い出される。幼い記憶の中、漠然とした恐怖からその顔を見ることができなかったウィリアムは、一人一人の顔を思い出せないことに苦情を漏らした。これでは自分も一緒ではないか。
「わっ……と、急になんですか、もう」
 物思いに沈んでいた時に引っ張られるとは思わず、背中に柔らかな感触を受けてほっとするのも束の間、妙なことを言い出す相手を改めてまじまじと眺める。
「だからそんなに急には寝付けない、ですよ……こういう時は変なことばかり考える、から」
 目を閉じれば余計なことばかり考えてしまう。深く漏らしたため息が尾を引き、ぼうと天井を眺めているうちにぽつりと提案のような独り言のような言葉が漏れる。
「……あなたもたくさんの話を知っているんでしょう。一つぐらい教えて下さいよ。読み聞かせは言うことを聞かない子供を寝つかせる魔法ですからね」
 そんなに悪い子ではなかった、どちらかといえば大人しく従順な子だったウィリアムは、親から手をかけられることもなく育ち切ってしまい、読み聞かせをしてもらったことは片手で数えるほどしかない。しかし、それは大切な思い出として心の中に積み重なっている。弱り切った今、その温かな記憶に手を伸ばしただけに過ぎないかもしれない。