15歳以上向け小説投稿サイト「大人小説☆カキコ」。超本格派から秘め事・過激な小説まで！

>>293

>ラザロ　イベント

「えっ、全種類ですか！？」
　突飛な注文を慌てて止めようとするが、この体に不釣り合いな注文量であることは把握してもらっていたらしい。何とも心強い申し出に苦笑で答える。
　色とりどりのフルーツを前に薄い氷の色の瞳もひと際大きくなって輝くが、直接手渡された赤いリンゴと握手の感覚に表情を正し、唇が軽く触れる程度の挨拶をレジーナの手へと落とす。
「寛大なお心、感謝申し上げます。……全部とはいかないと思いますが、大事に食べますね」
　全て彼女が作ったのだと思えば随分と器用なものだ。魔法が苦手な住人もいるのか、と感心と関心の間を行ったり来たりしながら彼らの話に耳を傾けていたが、最後にレジーナの背中へと声をかけて倣うようにくるりと周囲を見渡した。
「そうですね、落ち着いて食べたほうがちゃんと味わえそうですし……」
　かみ砕かれた飴の表面の音に目をあげる。わずかな間、ラザロの表情を観察したのは、彼らが果たしてこの食事を楽しめるのかどうかを確認するためだった。