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Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.61 )
日時: 2025/04/13 23:31
名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)

>>59

レンブラント

 軽い謝罪が聞こえ、一気に空気が流れ込んで咳き込むと、ひやりとした指先が首筋を撫でる感覚がある。
 言われた通り、初めてこの部屋を訪れ味見をしていったあの怪物にはある一定の規則があり、礼節があったように思える。その距離感はウィリアムにとって慣れ親しんだ社交的なものと類似点があった。
 しかし、目の前の悪魔は違う。優しい言葉を積み重ねようとも、他者の苦しみを楽しむ姿は徐々に浮かび上がってくるものだ。
 上体を折った体勢で何度かつまった咳を繰り返し、ようやく呼吸が落ち着く。
 正直、とんでもなく怖い。冗談でなく、体が恐怖で震えあがりそうだった。現に今、解放されたはずの体は立ち上がる気力すら失われている。
 それでも。恐怖の中にウィリアムは自身のいじらしい欲を見出していた。意識も消えかけていた最中ですら、脳に響くように聞こえた言葉。
「……僕の味はどうでしたか?」
 とっさに出たのは、震えを帯びた、それでいて素直な声。
「やはり、まだ……口にはあいませんか」
 声がかすれる。困ったように眉を下げながら笑いを漏らし、そっと首をさする。
「不思議な話でしょうが、あぁ……最後のひとときぐらいはこうやって、誰かに見つめられるのもいいものですね」
 レナード相手に言った言葉も、本心ではあった。三男坊として生を受け、誰からも相手にされず期待されず、自由に希薄に生きてきた今までの人生の中で、こうも強烈に求められるのは稀な体験であり、得難い欲求を埋めるものでもあった。
「あ、いや! だからと言ってまだ死にたいわけじゃない、んです……どうせ不味いんでしょう? レナードさんも少し血を舐めていってしまったぐらいだから……やはり何も言わないでください」
 慌てて頭を振れば、俯きがちに呟いた声はだんだんと小さくなり、最後には消え入るようになる。自身が口走ったことを反芻すれば再び顔に熱を覚えた。