>ウィリアム(>>74)
さっき庭で作業しとったところぉ呼び出されてしもたからなあ。中に回るよりこっちの方が近いんよ
(相も変らぬ間延びするような、それでいて喉に痞えるような甘さは無い声色でするすると紡ぎながら悪魔の庭への方角を顎で指し。レナードは面倒だとか言いそうで、暇潰しの方法が一杯あると言ったのはレンブラントの方。今求められているのは淡々とした部屋紹介では無く、閉鎖空間で溜まったものを解消してくれる何か、であろう。であれば、吸血鬼の彼よりも対峙している悪魔の方が適しているだろう。手紙は悪魔を呼び出すには十分であったらしい。貴方の言い分には珍しく口を挟む事無く最後まで静聴し、ふと眦を細め「 君が魅力的な対価を示してくれるんやったら、今夜は俺の時間を君に捧げてもええ思とるよ 」軽く曲げた指の第二関節を自身の顎に添え、吟味するような色を隠す事無く貴方を見つめ「 君がどんな味かはもう知っとるからなあ、おんなじモン捧げてもろてもおもんないし。――まさかタダ乗りしようとか図々しいコト考えとるわけないもんなあ? 」見る者によっては爽やかとも邪悪とも受け取れるようなスマイルを送りながら逃げ道を塞ぎ、ふわりとその場でわずかに上昇してその勢いのまま滑るように前へ移動し窓枠へ腰掛け「 さあ、悪魔の時間と君の何を交換しよか。 」言葉尻は下げており問い掛けの形を取ってはいないものの、こちらから代償を提示する気はさらさらなくあくまで貴方の思考回路に価値を見出すかのような期待を込めてちょこりと首を傾げて。彼は身一つと言っても過言では無い。差し出せる物といえば自分自身や過去に培ったものくらいだろう。例えば――此処に来る前の過去とか。だが然し其れは―。彼がこの屋敷に来たばかりで、今出せるものが少ないのを知っていて尋いて。)