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- Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.76 )
- 日時: 2025/04/23 21:12
- 名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)
>>75
>レンブラント
「急に言われても、困りますね……」
下心を見透かされ、ウィリアムは苦笑するほかなかった。図々しいと言われたらそれまでだが、レンブラントもウィリアムが何も持たぬ身であることぐらいは知っているだろうし、再び味見をされてもまぁ仕方がないとは思っていたが。
物品を差し出せと言われているわけではない。となれば、簡単な話。”面白いことをやれ”と言われているのだ。
白い紙を前にして話の筋一つも書き出せなかったウィリアムに対して、目の前の悪魔は非情な条件を突きつける。
自分の話をするとしても、考えを巡らせどエピソードトークをしたところでまともにいい反応が返ってくるとは思えない。赤裸々に自分が歩んだ二十余年を話したところで、この平平凡凡な中身があらわになるだけだ。
だとすれば。
「……人間の世界に興味はおありですか?」
ここが人間の世界ではないこと、目の前にいるのが人間ではない怪物であること。しかし、同等、もしくはそれ以上の知的レベルを持ち、自分に何かを差し出せと言うのであれば。
この平平凡凡でありながらもそれなりに人生で培ってきた”知識”を差し出すほか、この青年に選択肢はなかった。
「東洋の国にて伝統的に伝わる口頭芸能があります、一人の演者が複数の人物を演じ分けるものです」
ウィリアムがこれを実際に見たのは本当に小さな頃。父親にくっついて訪れたその国で、異国の言葉でありながらも演者の表情や仕草には感動するものがあった。それを一つ一つ思い出しながら、慎重に言葉を選ぶ。
「その中にも怪談というものがあります。大抵は幽霊や鬼などがモチーフとなっていますが、その中でも死神を取り扱った題材がありました。レンブラントさんの興味を引くものであれば……この場を借りて披露いたしましょう」
披露、といっても、話の筋を最後まで思い出すのもあやふやであり、まさに一発本番。提案をする本人の喉が一番震えている。
それでも本心を押し隠しながら、青い顔に穏やかな笑みを崩さないように心がける。それが今彼にできる唯一の抵抗であるように。