大人なりきり掲示板
- Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.78 )
- 日時: 2025/04/24 01:27
- 名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)
>>77
>レンブラント
今対価を払わずとも、後ででも構わない――そんな甘い言葉にどれだけの人間が窮地に陥っただろうか。詐欺や高利貸しの常套句であろう選択肢を、ウィリアムは選択する気はなかった。なんだかんだ後回しというものはその分リスクが付きまとうものであり、事実、今手元にある選択肢が未来で増えるとは限らない話なのだから。
笑い飛ばされても仕方がないと思っていた自分の提案に、レンブラントは意外といってもいいほどまともに受け止めているようだった。その蛇の目の中に吟味の色が見える。
「私にはこれ以上のものはありません。ただの人間でしかありませんからね」
深く息を吐く。緊張でこわばった肺や喉を動かす目的もあったが、それ以上に、隠すことのない不安を表していた。
「しかし、私自身に力がなくとも、物語には力があります。人間は時に救われ、時に叩き落される。あなた達にとってはひどく滑稽でしょうし、その様は一つの娯楽になるのではないでしょうか」
人間なんて、たった一人のちっぽけな存在である。それでも、自分にとって大きな存在であったたった一人の命だ。
その今にも壊れてしまいそうな命を、物語はつないで、生き長らえさせた。それはウィリアムが物語の力を信じるに足り得る経験であった。
「私にとっては、かけがえのない価値を持つものです」
静かに呟くも、恥ずかし気に苦笑を浮かべる。
「まぁ……お気に召さないのであれば、仕方がないです。一か八かでレナードさんにも同じように案内していただけるかお伺いします」
知識とは、目の前の絶望を一瞬くらませる、タネも仕掛けもある粗末なマジックのような手段だ。その場しのぎと言われたらそれまで。自分にとってはどれだけ美しい宝物でも、相手にとってはただの戯言かもしれない。
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