大人なりきり掲示板
- Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.86 )
- 日時: 2025/04/26 22:58
- 名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)
>>85
>レンブラント
「……そのような機会があれば、是非」
一度失ったものをもう一度手に入れたらどうなるのだろうか。きっと人間の意地汚い欲が現われるだろう。自分はもう取り繕えない。そう思えば、噛みしめた唇の隙間からは何も出てこなかった。
黙ったまま歩みを進めていれば、重厚な扉が開かれた先、高級な楽器が並ぶ空間は圧巻であり、心や頭に渦巻いていた恐怖は一度ぱっと和らぐことになる。
「わぁ、凄いですね! ここまで立派なものが揃っているなんて……」
レンブラントはバイオリンを心得ているというし、他にもこのような趣味を持つ者がいるのか、それともこの屋敷を作ったものが音楽好きだったのか。解かれた腕の中から一歩踏み出し、恐る恐るピアノへと手を伸ばす。実家にあった古いアップライトピアノとは比べることもできない立派なグランドピアノだ。
いくつかの譜面を頭に思い浮かべ、鍵盤に指を滑らせる。深く広がる音を確認し、ペダルに足をかけた。
流れるのは同じ旋律を繰り返す穏やかなクラシック、美しい旋律と流れるような指の動きが心地よく、何度も練習した曲だ。淡々と無心でピアノに向かい合うのは心地の良い時間であり、最後の音を響かせてゆっくりとペダルから足をあげたとき――不意にこれが教会音楽であることを思い出した。
「あっ……す、すみません! そんなつもりじゃなかったんです!」
急いで椅子を引いて立ち上がり、弁明を口にした。
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