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Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.88 )
日時: 2025/04/27 17:02
名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)

>>87

>レンブラント

「あ、ありがとうございます……」
 いつの間に移動したのか、扉の前ではなく後ろから声がかかると思わず飛び上がりそうになるが、それは怒声でもなくあざ笑うような失笑でもなかった。悪魔から紡がれる称賛をまともに受け取ってもいいものかと一瞬考えたが、今は素直に受け取ることにし、礼を述べる。
 ピアノを演奏して褒められたのはいつ以来だろうか。教養の一つとして教えられたこれらのことで両親の機嫌がよかったのは、まだ10歳にも満たない幼少期の頃だけだったように思える。
 予想外の評価を受けて呆気に取られていると、レンブラントはバイオリンを手にした。彼にもこのような興味があるのかと不思議に思ったものだが、その姿はまさにそうあるべきだと思われるほど手慣れたものであり、流れる音は繊細でありながら芯の通る美しい音色だった。
 これもまた、有名なクラシック曲だ。自分に合わせてくれたのか、それとも彼が好んでいたのか。バイオリンの豊かな表現の中に温もりも冷たさも感じるような心地の中、一つ一つの音を拾うために自然と息をつめて、その指先や目線から目を逸らせなかった。
 演奏者の指がバイオリンから離れても、その最後の音が響かせる余韻にしばらくは呆気に取られていただろう。気づけばたったまま演奏を聞き終えていたが、その様子もすべての音がウィリアムの中の琴線に触れたことを助長させるものだった。
「……美しいですね」
 素直な感激の言葉が漏れる。続いて我に返ると慌てて拍手とともに賞賛と感謝の言葉を並べた。
 おぼろげな知識の中、ピアノの伴奏がバイオリンの音色を引き立てる編曲で有名だったことを思い出すが、残念ながらこの手の楽譜を見たことがない。惜しいことをしたと純粋な気持ちから苦笑が漏れる。
「ありがとうございます、レンブラントさん。私が言うのもなんですが、素晴らしい腕だ……ここであなたのバイオリンを聞けたのは幸運なことでした」