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Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.90 )
日時: 2025/04/27 20:48
名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)

>>89

>レンブラント

「譜面があれば弾けるとは思いますが、相当練習しないとあなたの音を邪魔するだけかもしれません」
 ピアノに興味を惹かれるきっかけを作った親戚と共に無邪気に鍵盤をたたいていたころを思い出すが、先ほどの見事な演奏を聞けば自信もしぼんで首をかしげる。自分の実力が釣り合うとは思えない。
 すると、突然響くピアノの音に懐かしい記憶から意識は浮かび上がる。
「……あ、落語の話ですか」
 興味がない様子だと通り過ぎていた話題が再び戻ってきたことに驚きつつ、今ではすっかりと落ち着いた様子で記憶れば、話の筋はすんなりと引き出された。
 自分の思考が正常に回っていることを確認し、真っすぐに蛇の目を見据える。その瞬間から自身は演者となり、目の前の悪魔は客になる。先ほどまの苦笑は消え、青年の口から、文句が流れるように綴られた。
『――このような状況であれば、かの暴君を前に御伽噺で命をつなげた娘に倣うべきでしょうが、生憎私は身一つですから、ここはさる東洋の国に伝わる話を一つ。ある男と死神の話です』
 もはや生をもあきらめようとする男が死神との出会いの話。序盤こそぎこちなさがにじむが、話が進むにつれて男と死神へのめり込んでいく。
『ほぅら、消える、消える……消えた』
 口元が冷笑で歪むとともに、その薄い空色の目は焦点を失い、体はぐらりと揺れて膝をつき崩れ落ちる。まるで魂が奪われ、肉体だけとなってその場に転がるように。すでに屍は冷たくなり、四肢も硬直をはじめて、その瞳は白く濁っていた――
「…………という、オチ、になります」
 ぱちりと目を開き、この物語の終わりを告げる。ここが柔らかい足場でよかったと、沈み込むような絨毯の上からゆっくりと半身を起こす。
「いやぁ、こんな話、実際にはありえないと笑われるかとは思ったんですがね、この最後のオチが子供心に衝撃的で面白いと思ったんです」
 ウィリアムは幾分か満足げに笑う。元来話好きの青年は、本物を見たほうが面白いと楽し気に語る。その雰囲気は普段のものに切り替わっており、「失礼しました」と立ち上がって身なりと整えた。