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Re: 【 指名制 / 3L 】耽溺のグランギニョル【 人外提供 】 ( No.92 )
日時: 2025/04/28 01:01
名前: ウィリアム・ロックウッド (ID: hoeZ6M68)

>>90

>レンブラント

 「……本当ですか!?」
 また素気無くあしらわれると思っていた。それこそこの手の話をまともに取り合ってくれる友人も今では失い、家族の中でも楽しく会話をするということも減っていたのだから仕方がない。ひとりでぶつぶつと呟くような虚しい時間でも、聞き役がいるというだけで気がまぎれるのだったが。
 理由が分かった、と思っても見ない反応が返ってくれば、ウィリアムの目は一層輝きを増した。ここに来て一番といっていいほど嬉しそうな笑みを浮かべた青年は思わず上げた声に我に返り、ぐっと喉の奥を締める。興奮しすぎたと一つ咳ばらいをし、至って慎重に、その先を続ける。
「こんな素人芝居にそう知っていただくとは恐縮です……今では映画が広く普及して娯楽の大半を占めていますが、人々の語りにより受け継がれる物語というのも風情があるものです。その中には語り手の今まで培ってきた人生が宿りますから」
 冷静に、と言えども思わず熱がこもる。先ほどの演奏も同じことだ、演奏者によって曲の表現方法は無限であり、彼らが旋律に乗せて伝える物語は言葉ではなく音として直感的に伝わってくる。
 彼のバイオリンの音にもその熱はあった気がした。だからこそ、伝わると思ったのだ。何かを伝えるための技術を磨いたことがある者だと思ったからこそ。
「この語りを生業とするプロの公演はもっと素晴らしいものですし、ご興味があるなら是非見にいかれてみてはどうですか? 今では娯楽を楽しむのもほとんど労働者ですから、夜の公演も充実しているでしょうし……あー、その、私はいけないことは分かっているので、もしよければ感想だけでも聞かせていただけると嬉しいです」
 人間界には戻れない。その大前提があることを忘れてはしゃいでいたものの、ふと思い出しては言葉が詰まった。それでも、興味を持ってもらえたことは嬉しく、楽し気に話す声は自然と弾む。