大人なりきり掲示板
- Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.104 )
- 日時: 2025/11/18 20:28
- 名前: ざざ (ID: PivAKqVG)
頭を上げる許しを得て、そっと顔を上げた瞬間
私の呼吸は、小さく震えた。
いつも穏やかで、決して揺らぐことのないはずの第一皇子の声音が、
ためらいに沈んでいたから。
困ったように浮かべられた自嘲の微笑み。
けれど、その奥底に潜むのは淡い影ではなく、確かに熱を帯びた何かで。
私はそれを触れたら壊れてしまいそうなほど脆くて
なのに、どうしようもなく愛おしく思えてしまった。
思わず手を伸ばして抱きしめ、“大丈夫ですよ”と伝えたくなるほどに
しかし次の瞬間には、いつもの優しく凛とした第一皇子がそこに戻っていた。
彼の口から続いて出た言葉は、ふとした違和感を胸に落とす。
暫くは誰も着る予定のないものですから。
優しい声音のままなのに、なぜかざわりと胸が波立った。
あの部屋に足を踏み入れた時に覚えた、不自然なざわめきが再び蘇る。
王妃は確かに健在、そのはず。
けれど。
最後にその御姿を見た日が、どうしても思い出せない。
記憶の中に霧がかかったようで、深く考えようとしたその瞬間、
歩き出した彼に現実へ引き戻された。
「……、ジーク様…」
遅れないように慌てて足を進め、横へ並び直す。
名を呼んだまま次の言葉が喉の奥で渦を巻き始める。
何を話せばいいのだろう
ただ他愛もない話をして空気を和らげるべき?
それとも、なぜ嫉妬を?と聞くべき?
はたまた王妃はどちらに?と疑問をぶつける?
けれど、その選択肢はどれも重すぎるように思えて、
次の言葉が出ないまま足元ばかりを見る自分がもどかしい。
ーー
こちらもついつい気付いたら長くなってしまっていて…楽しいです…
次のキリ番も踏めるようお付き合いくださいー!
PR
