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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.109 )
日時: 2025/11/19 08:29
名前: ざざ (ID: Pm9H8cyX)


 
 続いた言葉は、またしても心をそっと掬い上げるように胸へ落ちてきた。

「 招待したい、と思う方が今まで現れなかったんです。 」

その声音は飾り気がなくて、嘘の影もなくて、
ただ真っ直ぐで――温かかった。

彼にとって、そこはきっと誰にも見せたことのない“大切な領域”。


そこへ、私を招いてくれる。



(……ジーク様。少しだけ、自惚れても……良いのでしょうか)

あの日、電話越しに聞いたあの甘い声を向けた“お相手”よりも。
誰よりも特別だと。
私がそう思ってしまっても、いいのだろうか。

そんな想いが胸に芽生えた瞬間、
息がひとつだけこぼれ落ちるように止まって、
歩幅が半歩だけ遅れた。

「……いいえ、欲張りだなんて……」

彼の“もっと”という願いは、私にとって負担でもなんでもなく、
むしろ胸の奥をくすぐるほど愛おしくて。

「わたくしは、そのお気持ちを……軽んじたりいたしませんわ」

自分でも驚くほど柔らかく、けれど確かな声が喉からこぼれた。

その言葉に偽りはない。
温かくゆるんだ胸の奥も、
すべてが彼に向かって動いている。

そして気づけば
自分の足取りは、さっきより確かに彼の傍へ寄り添っていた。
まるでその距離こそが、今の私の答えだと言うみたいに。