大人なりきり掲示板
- Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.111 )
- 日時: 2025/11/19 12:38
- 名前: ざざ (ID: kQMNZXMh)
(……ああ。そんな反応、ずるいですわ)
ふと向けられた小さな笑みは、
凛とした第一皇子のものではなく
まるでひとりの男性が、好きな人にだけ見せてしまうような、そう感じてしまった
ーーーー
迷路の生垣の間を進むと、
古びた温室が姿を現した。
蔦に覆われ、誰も使っていないはずの場所。
けれどジーク様は迷いなく胸元へ指を滑らせ、
ジャボを解き銀色の小さな鍵を取り出した。
錠前が外れ、扉が開かれた瞬間。
ただただ言葉を失った。
温室の中は埃の気配すらないほど整えられていて、
柔らかな光が花々を優しく照らしていた。
清らかで、凛としていて、
近づけば静かに香る、そんな彼の面影を写したような場所
視線を巡らせるほどに胸が満ちていく。
まるで夢の中、時間が止まった場所に足を踏み入れたようで。
扉が静かに閉じられ、
ジーク様の手が私の腰へ添えられたとき
心臓がひとつ強く跳ねた。
あまりにも夢中になりすぎていた
「いかがですか?」
どこか期待を含むその声音に
きらきらとした瞳のまま彼の顔を見上げて
「すごく素敵で……
この世界の幸せを集めたような…あぁ、どうしましょう。
言葉が出てきませんわ」
自分でも驚くほど素直な声音だった。
彼の手に導かれるままティーテーブルへ足を進める。
けれど視線を巡らせた先。
花々に囲まれた優美な空間の奥、
ただひとつだけ異質な黒い扉。
まわりの輝きとは正反対の、
ひんやりとした無機質な気配。
まるで物語の中に突然現れた“禁じられた扉”のようで。
悪い魔女が、今にもそこから現れるのでは
そんな不安が背筋をかすめる。
思わず声を漏らしていた。
「……ジーク様。あちらは……?」
この夢のような空間に、
唯一差し込んだ“現実”の影に怯えるように。
けれど、目を逸らせないでいる
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