>>リンデン姫( >>113)
花々もきっと幸せですね。貴女に見初められ、愛でられたのですから
(植物を愛しているのなら摘み取りはしないとはよく言ったものだが、きっと愛でるに留めたであろうその指先が滑る先が物言わぬ花々などではなく自身の肌の上だったらどんなに良いだろう。一の位を持つ清廉潔白の皇子には到底相応しくないふしだらな想像は穏やかな言葉の中に混ぜ溶かし、姫も同じように焦がれてくれていたらいいのにと感じて。どうかいつも心安らかに笑っていてほしい、きっと貴女と同じリンデンを見ればまあ≠ニ驚いて可憐に笑ってくれるはず――そう願って姫の顔を見つめていたら、反して静かで繊細な表情になっていて。つられるように皇子も眉尻を落として姫の言葉に耳を傾けて、ゆっくりと目を瞠って「 ……姫、それは、 」紡ぎ掛けた口は続く言葉に途中で言い淀んで、改めて口を開く「 ……ええ、もちろん。貴女以外となんて、有り得ない 」考えるよりも先に口をついたとばかりに、どこか切羽詰まった様なぼんやりしたような呟き、そして「 私も常に貴女を想っています。例え物思いに耽ないようにしたくとも…不可能です。書類に目を通す合間、移動中の馬車から空を見つめた時、どんな時にも貴女の顔が思い浮かぶ。不自由はしていないか、退屈はしていないか、お腹を空かせてはいないか…、――私以外の皇子に、美しい顔で笑いかけてはいないだろうか、と 」片方の手は姫の体温を逃がすまいとそのまま、もう片方はそっと姫の頬あたりまで伸ばして、耳を掠めて美しい髪の間に指を滑り込ませるように、半ば頭を掌で淡く覆うように。「 リンデン姫、貴女が私だけの姫になってくださるなら。貴女を想いながらもこの手に抱けない無力感に耐えながら、物言わぬこのリンデンを独り愛でる必要などないのです。 」言うまいと思っていた言葉が次々とあふれ出てきてしまって、どうにも止められなかった。私だけの姫に。其れは、切に求愛しながらも造られた姫へ魔女の存在に、あの夜の女性を無意識にチラつかせる事だろうか。浅はかに承諾して何も知らない姫で良いのか、不穏な危険信号が灯るかもしれない。微笑みの形は崩さないものの、その表情や声色にはどこか肚の決まった男らしさ、或いは決意のような強さと僅かばかりの余裕の欠如が浮かんで、自分の背後に位置する黒い扉のことにはついぞ触れる機会を逸したまま、姫に触れている手に力を込めて抱き寄せて)貴女が充分に他の皇子と言葉を交わし、見極める時間を置いてから言おうと思っていたのですが。…私だけの姫に、なって下さいませんか。
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ご連絡なのですが、明日から三日間だけ返信出来る時間帯が変わります。
一つお聞きしたい事がありまして、
貴方のロルに惚れ込んでしまいました。
姫の数だけ物語はある、新たに増やしたりは考えていないでしょうか?