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- Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.122 )
- 日時: 2025/11/20 06:59
- 名前: ざざ (ID: 70oEIa82)
甘美で、優しくて、
でもどこか切なさを含んだその呟きに、
心臓は形を変えるほど熱く満ちていく。
抱き寄せる腕の力が少し強くなったのも、
その切なさの理由も、
なぜだかすぐにわかった気がした。
けれど。
腕の力が緩み、
ジーク様の指先がそっと私の二の腕へ添えられた瞬間。
空気が変わった。
甘く満たされた温室の香りの中、
彼だけがほんの少し別の温度を帯びたようで。
静かに告げられたその前置きが、
胸の奥を冷たく撫でていく。
辛い真実。
知る権利。
王宮の秘密。
――そして、「貴女のことについても」。
胸の奥がひゅ、と縮んだ。
怖い。
でも、逃げてはいけない。
ジーク様が迷いながら、それでも言おうとしてくれているのは、
嘘でも幻想でもない、確かな“真実”なのだから。
彼の隣に立ちたいと願ったのは、
ほかでもない、私なのだから。
しっかりと彼の瞳を見つめる。
震える指先で、彼の腕にそっと触れながら。
「……ジーク様」
名前を呼ぶ声が、少し掠れてしまっていた。
それでも、逃げずに言葉を続ける。
「わたくし……聞く覚悟はございますわ」
胸が痛むほど怖い。
「貴方が“真実を語りたい”と選んでくださったのなら……
その想いに、背を向けるわけにはまいりませんもの」
腕に添えていた両手を滑らせて愛おしい彼の両頰を包むように優しく触れる
「どれほど辛いものであっても、
わたくしは受け止めます。
ジーク様が隣にいてくださるのなら」
小さく息を吸い、震えをごまかすように微笑んだ。
「――全てを、お聞かせくださいませ。」
逃げないと決めた声は、
静かに、けれど確かに温室の中に落ちた
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