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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.141 )
日時: 2025/11/25 12:28
名前: ざざ (ID: ZGMmo6SO)


 呼ばれた名が、胸の奥で跳ねる。
迷うことなくこちらへ歩み寄ってくる人物を見上げた瞬間、息が止まりそうになった。

夕焼けの光を閉じ込めたような琥珀の瞳
ただひとつのその輝き。
対になるはずだったもう片方の瞳は、夜の気配を溶かし込んだような黒髪に静かに隠されている。
端整な顔立ちは彫像めいて整っているのに、冷たさと温かさがひとつの容れ物に収まったような、矛盾めいた美しさを纏っている。

その姿を、私は知っている。忘れられるはずがない。

この国が誇る尊き皇子の一人
ハインツ様、その人であったから。

そんな方が、ただのメイドに過ぎない私を「姫」と呼び、微笑みながら近づいてくるなど、あり得ない。あり得るはずがない。
心臓が痛いほど脈打ち、腰の翼がかすかに震えた。

「あの、! どうぞこのような者は放っておいてください。
殿下が気にされるような身分ではないのです」

か細い声で絞り出しても、震えはどうしても隠せなかった。
それでもハインツ様は歩みを緩めず、肩に置かれた手も優しく、揺らぎがない。
誘われるまま東屋へと歩き出すが、“手当”という言葉が耳に触れた瞬間、胸が締めつけられ、足がすくんだ。

「い…いけません殿下!」

青ざめた顔を隠すように視線を落とすと、痛む足よりも、殿下の気遣いを受けてしまうことの方がずっと恐ろしく思えた。

本来なら、遠くから見上げるだけで十分な人。
触れることなど許されぬ、手の届かぬ光のような存在。

その方の手に導かれている自分が、どうしても信じられなかった。


ーー

萎縮してしまってますが流されやすい性格なので大丈夫かなぁと…
やりたい事がでましたらその都度相談させてくださいー!!
新しい物語をよろしくお願いします!