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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.32 )
日時: 2025/11/10 09:00
名前: ざざ (ID: CeAlR7mw)

 

 受け取った名刺の重みが、懐の中で確かに脈打っていた。
皇子は冗談めかしてサムズアップをしてみせたが――
国の一大事でも起こらぬ限り、こちらから易々とかけてよいものではないだろう。

「何かお耳に入れたいことがありましたら……遠慮なくおかけいたしますわ」
そう言って、動揺を隠すように微笑みを浮かべる。


 握られた手に、わずかに力がこもるのを感じた。
王宮で一夜を過ごすか、それとも馬車で帰るか
その二択を前に、胸の奥が静かに揺れる。

 この王宮で迎える夜は、きっと夢のように美しい時間となるだろう。
貴重な書物や、滅多に目にできぬ美術品もあるに違いない。
その誘惑は、もし叱責を受け唯一の自由を奪われるとしても、なお惹かれてしまうほど甘美だった。

けれど、彼にこれ以上の手間をかけるわけにはいかない。
「これ以上ご迷惑をおかけするわけにはまいりませんわ。
ですので…お言葉に甘えて、馬車のご用意をお願いいたします。」

 どちらかを選ぶなら、すぐに済む方がきっとご負担も少ない。
そう考えての選択だったが、
“この二つ以外は選択させない”とでも言いたげなその瞳の前では、
もはや断るという選択肢など存在しなかった。


ーーー


質問に答えていただきありがとうございます!
王宮で過ごすのも楽しそうだな…と思ったのですが今回は馬車の方を選ばせていただきます。
補足もありがとうございます。
交流の次第にはなると思いますが極彩の魔女様も個人的に好きでして…いつかお話しできたら嬉しいです。
引き続きよろしくお願いします、ご返信不要でございます。