大人なりきり掲示板
- Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.43 )
- 日時: 2025/11/11 13:24
- 名前: ざざ (ID: W16flDsP)
皇子の口から「お目通りをかなえましょう」という言葉が洩れた瞬間、
私はぱちぱちと二、三度、瞬きをした。
御公務の合間に、そんなお時間を割いてもらう事が申し訳ない気持ちで溢れてしまいそうになる
もし少しでも休めるひとときがあるのならば
どうか休息にあててほしい。
「……よろしいのですか?
直接お渡しできるのなら、もちろん嬉しいのですが……ご無理はされていませんか?」
この国にとって、何よりも大切なお方。
万が一にも、その身に負担をかけてはならない。
胸の奥に小さな不安を抱きながら、静かに問い返した。
嘘偽りのない真摯な声色で返された皇子の言葉は、どこまでも穏やかで、世辞などとは到底思えない。
本当に良いのだろうか――そんな迷いが心の奥で霞のように揺れた。
けれど、「どうか切らないで」と優しく告げられてしまえば、
その言葉に抗うことなどできようはずもない。
「……では、ジーク様のお時間が許される限り、
このリンデンとお付き合いくださいませ」
そう静かに笑みを含ませて、受話器を耳に当て直した。
皇子から気遣うように足の具合を問われ、
自然と視線が、自分の足もとへと落ちる。
「もう、すっかり良くなっておりますの。
ジーク様のご処置が、とても正確でいらしたおかげですわ。
本当に……ありがとうございます」
今では傷跡も、わずかに薄く残るだけ。
その跡をそっと指でなぞりながら、
心の底からの感謝を、ゆるやかに言葉へと乗せた。
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