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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.54 )
日時: 2025/11/12 21:48
名前: ざざ (ID: zLcGFy2P)



 18時に、出会ったあの場所で。

約束の言葉が形を帯び、場所までも決まったその瞬間

“お会いできる”という事実が、急に現実の色を帯びて迫ってきた。

胸の奥で何かがそっと弾け、頬の内側に温かな熱が広がる。



「明日が、とても楽しみですわ」



ふふ、と溢れ出た笑顔と声音が、隠しきれぬ心の高鳴りをそのまま映していた。



ブイヤベースと聞いた途端、ふと以前読んだ本の一節が脳裏をよぎる。

トマトと香草で味を調え、魚介をじっくりと煮込んだ料理。
紙の上でしか知らなかったその温かな光景が、今はまるで手の届くところにあるように思えた。

それに皇子の好みを伺ってしまえば、もうそれ以外に考えられなくなる。

「わたくしも……お魚、でしょうか。
ですので、明日はブイヤベースが良いですわ」

少しの間の後さらに続けて

「あと、好きなものといえば……果物、ですの」

一度だけ口にした林檎の記憶が蘇る。

あの時、世界にはこんなにも優しい甘さがあるのだと、感動した。



 そんなことを考えていると、皇子がふと何かを思い出したように声を上げた。

そのはにかむような声に、思わず頬が綻ぶ。

「ジーク様にも、苦手なものがあるのですね」

なんだか身近に感じて微笑ましさが胸に満ちた。


「パクチー……確か…植物図鑑で見た覚えがありますわ。
独特の香りがあるのだとか」

食べたことはないけれど、本で読んだ記憶を辿る。
苦手だと聞くと、かえって興味が湧いてしまうのが不思議だった。

そのささやかな発見さえも、小さな喜びになってしまう

ーーー

はい!よろしくお願いします!!