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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.56 )
日時: 2025/11/13 00:30
名前: ざざ (ID: DboXPOuE)



 王宮でのディナーが、どれほど華やかで、どれほど格式あるものなのか――想像すらつかない。
そんな場所で私などが席を共にしてよいのだろうか。
考えれば考えるほど、胸の奥にそっと不安の影が差し、緊張で味がわからなくなってしまうのではと、ほんの少し怯えてしまう。

 けれど、皇子の口から「果物をふんだんに使ったフルーツタルト」という言葉がこぼれた瞬間、胸の内が一気に明るく弾んだ。

 「タルト……! ずっと、宝石のように綺麗なものだと気になっておりましたの」

思わず声音が弾む。
もちろん、そんなものを口にしたことは一度もない。
けれど、街を歩いていた折に、ガラス越しに見かけたそれは、まるで夢の中の宝石のように眩しく、いつまでも心に残っていた。
まさか、その憧れの甘やかな輝きを、実際に味わえる日が来るとは思いもしなかった。

 「えっと…ワイン……ですか?」
恐る恐る問い返す。
「申し訳ありません……アルコールというものを、口にしたことがなくて……」

言葉を紡ぎながら、ふと胸の内がざわめく。
このままでは、これまで“きちんとした食事”を取ってこなかったことが、露わになってしまうかもしれない。
それがなぜだか、恥ずかしくて、皇子に知られたくなかった。

 「ジーク様はワインがお好きですの?」

自分のことからそっと話題を移し、悟られぬように笑みを添える。