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Re: 愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた_指名式、BNL ( No.72 )
日時: 2025/11/15 08:22
名前: ざざ (ID: Zkr5nzN7)



 控えめに放った声が届いたのか、すぐに近づく気配。

そして落ち着いた「お任せを」という響きが、胸の奥にほっと静かな安心を落とした。



 カーテンがわずかに揺れ、開いた瞬間。

ロメロ様の視線が私をさらりと捉えた、そう思った、その刹那。


「……っ」


 呼吸が、一瞬止まった。



「この世で一番リンデンが綺麗だ」


先ほど名乗ったばかりの名前を迷いなく呼ばれ

それは甘やかしでも口説きでもなく、ただ“事実として”投げかけられたようで
胸の奥で脈打つ確かな熱が全身をめぐる。


褒められ慣れていないのだと、嫌でも悟られてしまいそうで、

視線をわずかに伏せたまま息を整えようとする。

壊れ物を扱うみたいに丁寧で、繊細で静かな動きに身を任せていると


彼は明るい声音でできた事を伝え、私の両肩へ手を添えていた。


「……ありがとうございます」


 胸元でそっとショールを抱きしめ、試着室の鏡に視線を向ける。

映し出された自分を見た瞬間、ふわりと息が漏れた。


彼のセンスで選ばれたネイビーのドレスは
外に出ることの少ない私の白い肌を淡く照らし
黄緑色の髪までも、まるで光を宿したかのように鮮やかに引き立ててくれていた。

まるで困った姫を救う魔法使いのよう


「……さすがロメロ様ですわ。どんな人でも輝かせる才をお持ちなのですね」


思わず漏れた言葉は、敬意と微かな驚きを含んでいた。

この数えきれないほどのドレスの中から、あまり迷わずこの一着を選び出した姿が脳裏によみがえる。

鏡越しにそっと視線をロメロ様に戻した