大人オリジナル小説

そこにあるのは一時的な優越感と,一生の恐怖心と罪悪感。 ( No.115 )
日時: 2010/06/18 20:11
名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc

 怖い,怖いよ。

 いつかバレて叱られて,軽蔑されるのが怖い。
 怨まれて,虐められるのが怖い。
 誰も話してくれないのが怖い。
 怖いの。

 一人じゃ何もできないって分かってるのに,いざとなったら高等生物になった気分の馬鹿。バカバカバカバカバカ私の馬鹿。
 気付いてる。気付いてるのに何故やめられない? 親友が,親友と思ってる子が,「いじめやっちゃいなよ」というからなの?
 まるで踊らされてる人形だ。

 くすくすと私は笑う。それをあの子はいつも笑ってみてた。それが気に食わなくて,一度理由を訊いた事がある。
 すると飄々と言ったのだ。


「仮面被ってまでいじめなんかやってるあんたが面白くって」


 と。


 どうして私の素顔がバレた? どうして見破られた?
 そこまで余裕があるなら助けてよ,と叫びたかったけど,虐めっ子のプライドがそれを許さなくて,私は「あっそ」と吐き捨ててその場を去った。

 私の後ろ姿を見ながら,やっぱりあの子はくすくす笑ってる。


+

いつでも余裕たっぷり。
観客席が一番楽しいと,言った子。

余裕なんてなくて,いつだって怖い虐めっ子ちゃん。
それを見て笑ってる,見て見ぬふりする傍観者ちゃん。
くすくすくすり。こぼれおちてく微笑みを拾う事もああ面倒!