大人オリジナル小説
- 月の様に生きてください、と。 ( No.166 )
- 日時: 2010/08/26 17:29
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc
xxx様の実話を書き起こしたものに御座います。
xxx様,ありがとうございます。
尚,小説を書いてる方に言いますが,「人権」というものがありますので,xxx様の許可なしに自分の小説のネタにするのはやめてください。
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幼い頃の大きな悪夢は,今尚私の心を蝕んでいる。
十にもならない小さい女の子。それは紛れもなく自分で,その自分は親に虐待されていた。
殴られた。罵られた。飢えさせられた。包丁を突き付けられて,殺してやると言われた。家から追い出された。
死が他人事でなくて,毎日心臓が止まってしまうほどに怖かった。恐ろしかった。
痣の一つでもあれば,周りの大人にSOSの一つでも出せたのだろうか。
だけども。
親は痣にならないように私を殴り,他人から何かを言われれば「躾だ」と答える。
その言葉が示す通り,その「躾」は酔った勢い等ではなかった。
その頃,私に唯一優しくしてくれたのは,兄だけ。 日々,酷い虐待を受けていた私にとって,「優しい」というのは,兄が世界のすべてだと思ってしまうには十分過ぎるくらいの理由で。
そんな,世界のすべてだった兄は,本当にいきなり居なくなった。
自殺,したのだ。話に聞いただけだけれど,ダムに飛び込んだらしい。
そして,良く覚えてないけれど,翌日私は近くの川に飛び込んだらしい。
「お兄ちゃん,お兄ちゃん」と喚きながら。
兄が亡くなった時から,虐待はなくなった。けど,その代わり毎日「お兄ちゃんはアナタより」。
誰からも好かれる,優しくしてもらえる,人気者の素敵な兄。
「お兄ちゃんの様になれば,お母さん達にも喜んでもらえる」
そう,思った。
兄と同じ服を着て,兄と同じ塾に通って,兄と同じ中学校を受験し,受かり,兄と同じ部活に入った。
兄の様に笑って,兄と同じ言葉を言って,兄の様に皆に接する。
「私はお兄ちゃんとおんなじなんだ」
と,自分に言い聞かせた。
今の私は,兄のコピーで。
兄と唯一違うのは,「死」について過剰反応してしまうこと。
馬鹿だ,と自分でも思う。「もう殴られる筈,ないのに」。
そう分かっていても,兄とおんなじに,ならなくてはならないような…そんな脅迫観念の様なものがある。
皆私と兄を一緒の様に考えていて,私が「兄」であることをやめてしまえば?
…皆,兄の事を忘れてしまうのではないか,と,怖い。
+
光に憧れて,光の真似をして,光になり損ねてるだけ。
そう彼女は言いました。
けれど彼女は,ちゃんと光になれてると私は思うんです。
欠ける事があっても,太陽に照らされて静かな夜を見守っている月。
どこか闇を抱え,何かを失ってしまった,夜の月だと思うんです。
私の勝手な思いですけれど……。
気に入らない点・また「これは違う!」という点がありましたら遠慮なく言ってください,xxx様。
では,失礼しました。