大人オリジナル小説
- 童謡風の愚かな話 ( No.202 )
- 日時: 2011/01/27 22:40
- 名前: 黒紅葉 ◆uB8b1./DVc
むかしむかしの とあるむら。
むらいちばんの うつくしいむすめがおりました。
むすめは とてもやさしくおだやかで おおくのひとに あいされるむすめでした。
しかし ひかりさすところには かげがひっそりとそんざいするもの。
むすめをねたむものも たしかにそんざいしていました。
むすめは とてもやさしくおだやかで それゆえにたくさんきずつくこともありましたが それでもみなをゆるすことのできる ふところのひろさをもっていました。
それらすらをもしっとのたいしょうとしてみていた むすめのいもうとは あいするひとにふりむいてもらうために あねをころしました。
ばれないように だれにもみられないように しょうこをいんめつして。
「これでわたしはいちばん。これでわたしがむらでいちばん」
しかし むすめはしんでもなお いちばんうつくしいむすめでした。
いもうとはなやみました。「あのひとはこじんなのに!」どうしてだれもわたしをみないの?
むすめのそうぎは いままででいちばんそうだいにおこなわれました。
むすめのながいくろかみは さいごまできらきらとかがやいていました。
いもうとはいかりくるいました。「どうしてわたしをこんなめにあわすの!」さいごまで,いや,しんだあとも!
いもうとはきがつきませんでした。
みにくいしっとをむきだしにしてるため だれもじぶんをみないのだということに。
いもうとはきがつきませんでした。
むすめをころしたのがばれてるということに。
**
「愚かだわ」
書き終えたとき,私は思わずそう呟いた。
自らの罪にすら,欠点にすら目がいかないなんて,自信過剰にも程がある。
悪口ばっかり上手な人の典型的な例だなあ,とひそかに溜息をついた。
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